傷があるトラックは買取査定でマイナスになる?

トラックの傷はマイナス査定?

乗用車と違い仕事で使用することがほとんどであろうトラック。それだけに荒っぽく扱うことも多く、ちょっと傷ついたところで気にも留めない…これが一般的な感覚なのではないでしょうか。

しかし、いざそのトラックを売ろうと考えた時に傷や凹みが気になりだすもの。「こんなに傷があったら相当安く買い叩かれるのではないか…」。そういった不安が出てきますよね。

実際トラックの傷や凹みなどは買取査定の際にどのくらい影響するのか?査定協会の指針と実際の買取現場の声を紹介しつつ詳しく解説していきます。

日本自動車査定協会(JAAI)の基準は?

まずは乗用車や商用車の買取査定の基準を策定している日本自動車査定協会(JAAI)の査定基準から見ていきましょう。

約14万人の査定士を排出しているJAAIではトラックなどの商用車に関しても細かい査定基準を設けていることから、ご自身が所有するトラックの傷が査定にどの程度影響を受けるのかを知る目安になるでしょう。

キャブ(キャビン)の傷の査定基準

JAAIが策定する査定基準ではキャブ部分と荷台部分に分け、それぞれの傷や凹みに関して細かく規定しています。まずはキャブの傷や凹みに関しての影響を見ていきましょう。

ちなみに、キャブ部の呼称はこのようになっています。

トラックの部位名称

これをもとに査定基準を見てみます。減点に関しては「1点1,000円」とします。

カードサイズ未満 <5>10

部品名 塗装のみ 板金(塗装含む) 交換(塗装含む)
キャブタイプ フロントパネル 15 <10>25 <15>30 <45>60
ドア 15 <10>25 <15>30 <45>60
ルーフ 15 <10>25 <15>30 <55>70
キャブバックパネル 15 <10>25 <15>30 <65>80
フロントコーナーパネル 10 <5>15 <5>15 <15>25
リヤコーナーパネル 10 <5>15 <10>20 <40>50
フロントフェンダー 10 <5>15 <5>15 <15>25
ステップ 10 <5>15 <5>15 <15>25
ピラー 10 <5>15 <5>15

部品名 塗装のみ 板金(塗装含む) 交換(塗装含む)
ボンネットタイプ ボンネット 15 <10>25 <15>30 <30>45
フロントフェンダー 15 <10>25 <15>30 <30>45
ドア 15 <10>25 <15>30 <45>60
ルーフ 15 <10>25 <15>30 <55>70
キャブバックパネル 15 <10>25 <15>30 <65>80
ピラー 10 <5>15 <5>15
ラジエータコアサポート 10 15 15
ボディサイドシル 10 <5>15 <10>20 <50>60

部品名 修理(塗装含む) 交換(塗装含む)
バンパー <5>10 <10>20 <20>30

部品名 修理 交換
ガーニッシュ(アウターパネル) 10 15

上記「<>」内の点数は全塗装をした際に板金や交換のみの減点となっています。ちなみに全塗装が必要な際の減点は以下の通り。

全塗装 150
キャブ全塗装 100
荷台全塗装 60

かなり細かく規定されているのが分かります。荒っぽく使用されがちなトラックの場合、小さな傷や凹みが多数あるケースが多いため、これをひとつずつ減点していたら相当な減額になる気が…

もし傷や凹みが大小合わせて10ヵ所くらいあったとしたら、軽く20万円くらいのマイナス査定になってしまいますからね。

しかもこれ、キャブだけ基準なんです。

荷台部分の傷の査定基準

常識的に考えてキャブ以上に傷が付きやすいのが荷台ですよね。トラックは様々な荷物を荷台に載せるためのものですし、鉄板むき出しであるうえ荷物も荒っぽくガンガン載せがち。

そうやってついた荷台の傷や凹みにも細かい査定基準があるのです。下図はトラックの荷台部分の呼称、そしてそれぞれの傷や凹みに対する減額と続きます。

トラック荷台の部位名称

減点の区分及び細則 減点
価値減点 前立、ガードフレーム(鳥居)、サイド及びリヤゲート、サイドガード、リヤバンパーの曲がり 10
床板、ゲートの内板及び前立板の軽度のささくれ 10
アルミブロックの軽度の凹み 10
横根太の食い込み、ひび(1台分) 10
サイド及びリヤゲート鉄板の軽度の腐食 10
フレームのさび、下げり及び垂れ 20
フレームの曲がり 60

減点の区分及び細則 減点
標準外架装(一台分) スチールボディの総板張り 20
サイドゲート内側二重張り(板張り又は鉄板張り) 10
フロア二重張り 10
前立鉄板張り 5
ガードフレーム(鳥居)の補強 5
補助アオリ 20
ロープ穴 25
フロアの水抜き穴 10

塗装・板金・交換 カードサイズ未満 <5>10
部品名 塗装のみ 板金(塗装含む) 交換(塗装含む)
サイドゲート(標準) 15 <10>25 <15>30 <45>60
サイドゲート(ロング) 15 <10>25 <15>30 <55>70
リヤゲート 10 <10>20 <15>25 <30>40
ガードフレーム(鳥居) 10 <10>20 <15>25 <45>55
前立 10 <5>15 <10>20 <15>25
木製床板の折れ1ヵ所 10 50(1台分)
スチール製フロア(標準) 10 <10>20 <15>25 <50>60
スチール製フロア(ロング) 10 <10>20 <15>25 <60>70
リヤフェンダー 10 5<15>
サイドガード 10 5<15>
リヤバンパー 10 5<15>
リヤボディAssy低床キャブタイプ 290
リヤボディAssy低床ボンネットタイプ 180
リヤボディAssyフラットデッキ(標準) 360
リヤボディAssyフラットデッキ(ロング) 450

こちらも<>内の数字は全塗装を行った際の板金のみの減点。

荷台の傷なんて数えていたらきりがありませんよね。傷や凹み一つひとつにこの査定基準を適用していたら査定なんて付かない気すらします。

とはいえ、これがJAAIが定めるトラックの傷や凹みなどに対する査定基準なのです。「そんな丁寧に使ってなんかいられないよ」というのが現場でトラックを使っている人の本音なのではないでしょうか。

査定前にトラックの傷は治した方がいい?

主に仕事で雑に扱いがちなトラックの傷などにこれだけ厳しい査定基準があり、これを生真面目に適用していたら査定は0円になりかねない…ならば傷や凹みを直してから査定してもらった方がいいと考える人もいるかもしれません。

しかしそれは絶対に避けてください

その理由は2つあります。ひとつは個人より買取業者やディーラーなどの方が傷や不具合を圧倒的に安く直すことができるという点。

業者によっては自社で修理・板金部門を保有している場合があったり、外部に委託するにしてもスケールメリットなどに理由により個人が依頼するよりはるかに安く修理・板金することができるのです。

そういったこともあり、傷や凹みに対する減額幅は個人で修理する費用より低く設定されています。自分で直すなら5万円かかるけど、直さずそのまま査定に出せば3万円の減額で済む…といった具合ですね。

「親族に板金屋がいてタダに近い金額で直すことができる」というのであればまだしも、普通の人が板金屋などに修理に出せば査定の減額より修理費の方が遥かに高くつくことになります。

傷や凹みが多く、JAAIの査定基準に照らし合わせるとかなりの減額は避けられない状況だとしても、自分で修理に出そうとは絶対に考えないでください。

トラックの傷や凹みは査定にそれほど影響ない

自分で修理に出すべきでない理由のもうひとつ…それは実際のトラックの査定はJAAIの基準通りではないという理由になります。

JAAIの査定基準では傷や凹みに対する修理や減点に関し細かく規定されています。それをすべて当てはめると0円査定になってしまうというトラックやダンプも多いことでしょう。

しかし、実際の買取査定の現場ではよほどの傷や凹みでない限り買取額にはあまり影響しないというのが一般的。お上が作った基準と実際の現場の判断には大きな隔たりがあるということですね。

もちろん大きな傷や凹み、明らかな不具合であれば買取額は減額されます。しかし小さい傷などは減額ならない場合も多いのです。

中古のトラックを買う側の立場になってみると分かりやすいのではないでしょうか。仕事でガンガン使う場合、ちょっとした傷や凹みよりエンジンやミッションなど走りに関する機関がしっかりしているかのほうがよっぽど重要になりますよね。

トラックなどの商用車に関するJAAIの査定基準はあくまでも“参考”。それがすべてではないのです。

「傷や凹みが多いから買取査定しても厳しいだろうな…」と考えている人は、とりあえず一回査定を受けることをおすすめします。思わぬ高額査定が付く可能性も十分あるのです。

トラックの傷と買取査定のまとめ

乗用車と違い仕事で荒っぽい使うことが多いトラックの場合、日本自動車査定協会(JAAI)の査定基準をそのまま適用すると0円査定になってしまうことも考えられるでしょう。

しかしそれはあくまでも形式上のもの。トラックなどの商用車を扱う業者は中古トラックやダンプにそこまで厳密なものを望んではいません。なぜならJAAIの査定基準と、実際に中古トラックを求める人が重視するものに隔たりがあるから。

もちろん傷や凹みなどがなく綺麗な状態に越したことはないでしょう。しかしそういったことを重視しない人も大勢いるため、結果として「トラックの買取査定では小さい傷などはあまり影響しない」となるのです。

ただし、このあたりの判断は買取業者や査定士によって大きく異なります。乗用車以上に差が出やすいと言っても過言ではないでしょう。

そのためトラックやダンプなど商用車の査定は複数の業者に査定を依頼するのが何より重要に。その中でより高額の査定を提示してくれた業者に売却すればいいのです。

傷や凹みが多いから売っても二束三文だろう…そう考えるのは大間違い。傷が多くてもあなたのトラックを求めている人は確実に存在します。まずは諦めずに一括査定を受けてみてください。

トラックやバスの売却を考えている方は

一般的な乗用車と違いトラックなどの商用車を買取してくれる業者は少ない…そのためこれまでは買取業者やディーラーの言い値で売ってしまっていた人もいることでしょう。

しかし、「トラック一括査定王」を用いればトラックなどの商用車も乗用車同様複数の業者に一括査定を申し込むことができ、それによってより高く売却することができるのです。

トラック一括査定王は多くの商用車買取業者と提携しており、一括査定を申し込めば3~5社の査定を受けることができます。今お乗りのトラックの査定額を知りたい方、少しでも高く買い取ってほしい方はぜひ活用してください。

トラック一括査定王