廃車で戻る自動車税や自動車重量税、自賠責保険
前のページでは0円査定で値段が付かなかった車の処分や売却について書きましたが、たとえ車の査定が0円であったとしても廃車をすれば還付されるお金があります。
それは毎年5月に支払う事になる「自動車税」と、車検の際に必ず払う事になる「自賠責保険料」、そして「自動車重量税」の3つです。
これらの還付金の額は廃車にする車の種類や時期によって大きく異なり、状況によっては数万円戻ってくることも。車の廃車をお考えの方は絶対に身に着けておくべき知識といえます。
自動車税と自賠責保険料、自動車重量税の3つは還付にあたって条件や手続きの仕方が異なりますので、一つひとつ詳しく紹介していきたいと思います。
廃車の際の自動車税の還付は軽自動車は適用外
まず最初は毎年払うことになる自動車税について。
自動車税の支払い用紙は4月1日の時点で車検証上の所有者(ローン購入の場合は使用者)に送付されます。多くは5月上旬ごろに届き支払期限は5月末となっていますが、課税自体は4月から。
自動車税は翌年3月末の分まで先払いしている性質上、車を廃車にした場合は残りの月の分を月割りで還付を受けることができます。しかし車の売却などによる名義変更や移転登録では自動車税の還付は受けられないので注意してください。
そう、自動車税の還付を受けられるのはあくまでも廃車にした場合のみなのです。
下図が排気量別の月割り額になります。
ちなみに軽自動車は元から優遇されているためか、廃車に伴う自動車税の還付はありませんので、上図では軽自動車の自動車税は割愛しています。
上図の見方について。例えば1000cc以下のコンパクトカーを8月に廃車にした場合、8月までの税金は支払う必要があるため9月~3月までの7ヶ月分である14,700円が戻ってくることになります。
見ての通り3月に廃車にした場合は還付金はありません。税金分しっかりと使い切ったということですね。特に名義変更などで還付金を受け取れない場合は3月に手放すのが一番無駄のない形といえるでしょう。
一方、例えば4月2日に車を廃車したとしても4月1日時点では所有者であるため5月には自動車税の納付書が届くことに。これを支払った上で4月分を除いた11か月分の還付を受ける形になるため、手間や費用面での無駄も増えてしまいます。
還付手続きの仕方は、陸運局によって一時抹消登録や永久抹消登録されれば1~2ヶ月後に自動車税の納税者に還付の通知書が送られてきます。これに必要事項を明記し金融機関などで手続きすればすぐに還付してもらえます。
廃車買取専門業者などに売却や引渡しをすれば多くの場合廃車の手続きをしてくれます。こちらで行う必要がある難しい申請はなく、仮にご自分で廃車の手続きをする場合でも抹消登録をすれば自動的に還付の通知書が送られてきます。
■車の売却などによる名義変更や移転登録では自動車税は還付されない
■軽自動車の場合自動車税の還付はない
廃車にした際の自動車重量税の還付
次に自動車重量税の還付について書いていきます。
自動車重量税は車検時に2年分を先払いする形で納付する税金で、こちらも廃車にすることによって残りを月割りで計算し還付されます。車検の最終月(1ヶ月以上残っていない場合)に廃車にした場合は還付金はありません。
上記の自動車税も自動車重量税も廃車にすることで残りの期間のお金が戻ってくる点に違いはありませんが、自動車税が一時抹消登録でも永久抹消登録でも還付されるのに対し、自動車重量税は永久抹消登録でのみの還付となります。
つまり、その車は二度と乗らず自動車リサイクル法に基づいた適切な解体が行われた場合に限り自動車重量税が還付されるという仕組みになっているのです。
自動車重量税の月割り額は以下のようになります。
もうひとつ気を付けて頂きたいのが、自動車重量税の還付を受けるためには「解体を事由とする永久抹消登録申請」又は「解体届出」と同時に還付申請を行わなければならないという点。
永久抹消登録申請や解体届出の手続きを先に行い、後日自動車重量税の還付手続きを行うといったことはできないのです。
簡単に言えば先に廃車・解体まで済ませ、後から自動車重量税の還付申請はできないということ。ややこしいですね。
ちなみにこちらは自動車税と異なり軽自動車でも還付の対象になります。当然ながら軽自動車の場合は運輸局や自動車検査登録事務所ではなく、軽自動車検査協会での手続きとなります。
■解体届出と同時に還付手続きを行わないと自動車重量税は還付されない
■自動車重量税は自動車税と違い軽自動車でも還付される
車を廃車にした際の自賠責保険料の還付について
自動車重量税と同様に車検時必ず加入する必要がある自賠責保険料(強制保険)も廃車の際にお金が戻ってきます。
しかしこちらは自動車重量税と違い解体せずとも一時登録抹消や永久登録抹消といった廃車のみで還付されます。しかしこれも自動車税同様車の売却などによる名義変更では還付の対象になりません。
戻ってくる額は自動車重量税と同様に残っている期間によって異なり、車検の残りが1ヶ月未満であれば還付はありません。
以下が平成25年4月以降の月割りの自賠責保険料となっています。還付額の目安にして下さい。
還付を受ける手続きですが、乗用車であれば運輸局(陸運局)で廃車の手続きが完了した際に交付される登録識別情報等通知書(一時抹消登録証明書)や登録事項等証明書に自賠責保険証明書、本人確認のための運転免許証など、そして印鑑が必要となります。
一方、軽自動車の場合は軽自動車検査協会にて廃車の手続きを行うことになり、その際に発行される自動車検査証返納証明書もしくは検査記録事項等証明書に自賠責保険証明書、運転免許証などの身分証明書、印鑑となります。
必要なものを要約すると…
- ■乗用車
- ○登録識別情報等通知書(一時抹消登録証明書)や登録事項等証明書
- ■軽自動車
- ○自動車検査証返納証明書もしくは検査記録事項等証明書
- ■自賠責保険証明書
- ■運転免許証などの身分証明書
- ■印鑑
…となります。
正直こういった手続きは色々と面倒ではあります。しかしある程度の期間残っているのであれば、多少の時間や手間を惜しまず還付を受けたほうがいいでしょう。
■売却の場合、多くは名義変更になるので自賠責保険料の還付はない
廃車の際に還付されるお金のまとめ
ここまで車を廃車にした際に戻ってくる自動車税、自動車重量税、自賠責保険料の3つを取り上げてきましたが、いかがだったでしょうか。
還付を受けられる条件や手続きの仕方は異なるものの、売却や譲渡などによる名義変更や移転登録では還付の対象にならないという点では共通しています。
そう聞くと「車の買取や売却では自動車税や自動車重量税、自賠責保険料を損しているのか」と感じるかもしれませんが、多くの場合これらは買取額に含まれています。車検が長く残っている車の方が買取額が高いのはそのためです。
ですから、売却の際は「税金戻ってこない」と感じるのではなく「査定に含まれる事で面倒な手続きなど必要なくて楽」と考えたほうが精神衛生上よいでしょう。
一方で、廃車買取業者などに売却や引取りをお願いする際にはこれら還付の事を必ず聞くようにして下さい。
0円査定の車の廃車にかかる費用を請求しない代わりに委任状などによって自動車税などの還付をすべて業者が受領してしまう場合も多いので、これらの還付をどちらが受け取るのかなどはしっかりと確認しておくべきでしょう。
車検や自動車税の残りの期間によっては還付金も馬鹿に出来ない額になるので、客の無知をいい事に業者に吸い取られたりしないよう、廃車をする前に軽くでもいいので一通りの知識を身に付けておくようにしてください。
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