輸入車査定で高いのは右ハンドル?左ハンドル?
日本で輸入車・外車を買う際に悩まされるのが左ハンドルか右ハンドルかという点だと思います。運転のしやすさはもちろん、将来的なリセールバリューも気になるところですよね。
昔は左ハンドルこそ外車の証でありステータスという見方があったこともありますし、そもそも左ハンドルの設定しかない場合も多くありました。
しかし近年の輸入車・外車は右ハンドルと左ハンドルの両方がラインナップされる場合が多く、「どちらに乗ろう…」と迷ってしまう原因にも。
右ハンドル、左ハンドルどちらを選ぶかは個人の好みやこだわりによって変わってくると思いますが、「査定」「リセールバリュー」という面で見るとどちらが良いのでしょうか?
昔の輸入車・外車は圧倒的に左ハンドルが好まれた
かつての日本では左ハンドルこそ外車の象徴でありステータスであった時代があり、右ハンドルの輸入車・外車の査定額は安くなってしまったものです。
わざわざ日本車より高い輸入車に乗るのだから、そのステータス性を最大限に享受するためにも左ハンドルは必須であり、またその考えから中古車市場でも左ハンドルが好まれ、右ハンドルより左ハンドルの方が価格も査定額も圧倒的に高くなっていました。
今でもそういった時代を生きてきた層には「外車は左ハンドルでなければ」という考えが残っており、また日本での左ハンドルのメリットを声高に訴える動きが一部であるのも事実。
しかし現在は輸入車のハンドル位置に関する情勢は大きく変わっています。
そもそもハンドル位置というのは各国とも右側通行か左側通行かによって決まっており、アメリカをはじめ多くの諸外国は右側通行のため左ハンドル、日本やイギリス、オーストラリアなど2015年現在55の国では左側通行となっており、こちらは右ハンドルとなっています。
つまり右通行なら左ハンドル、左通行なら右ハンドルというのは安全性や利便性を考えた上で最良と世界的に判断された常識であり、こういった背景からかつては「外車=左ハンドル」だったものが現在は右ハンドルが多数を占めるように。
輸入車の右ハンドルは8割を超えているのです。
なぜ輸入車は急速に右ハンドルが増えたのか?
「右ハンドルと左ハンドルのどちらが査定に有利か?」という点からは少し外れますが、日本で急激に右ハンドルが増えた原因というのは輸入車の査定を考える上で欠かせない要素でもあるので少しお付き合いください。
先ほど右側通行は左ハンドル、左側通行は右ハンドルが世界的に当たり前と書きましたが、それは長年の安全性や利便性の高さに裏打ちされたもの。
日本においては大きい交差点の右折待ちでは、本来対向車線が見やすい右ハンドルですら対向の右折待ち車のせいで直進の対向車の有無を確認しづらい場面もあるのに、左ハンドルになればなおさら見づらくなるのは必然です。
これは車の追い越しや路上駐車している車を追い越す際も同様で、対向車の動きが見づらいというのは安全上不利なのは言うまでもありません。
塀などが高く見通しの悪い住宅街や交差点などでは左ハンドルでは左の塀に近すぎて視野が狭くなってしまうという問題も。
左ハンドルは運転席が歩道側だから路上駐車などの際乗り降りしやすかったり、左折時の巻き込み確認をしやすかったりといったメリットもありますが、総合的に見て危険性が高まるのは間違いなく、国によっては反対のハンドル車の走行や輸入を法的に禁止している場合さえあります。
かつてはステータス性に加え左ハンドルしかない車種が多かったことから輸入車や外車は左ハンドルが多かったものの、現在は正規ディーラーであれば左右両方のハンドルを揃えているのは当たり前。
かつては憧れだった左ハンドルも現在は「日本で左ハンドルって…」と、安全性より古い価値観を優先させている印象を持たれ失笑される場合すらあり、左ハンドルは急速に廃れていっています。
事実、近年は輸入車といえど右ハンドルしかないモデルも登場するようになっており、この流れは徐々に広がっていくものと思われます。
これはつまり「左ハンドルは人気が無い」ということの裏返しでもあり、希少性や趣味性が高く「どうしても左ハンドルで」と考える人が多い車でない限り、左ハンドルの査定は右ハンドルに比べ厳しくなるかもしれません。
■現在は大半が右ハンドル主流で左ハンドルを選ぶメリットは少ない
左ハンドルは査定においても絶対に不利なのか?
近年急速に普及している右ハンドルの輸入車。すでに8割以上の輸入車や外車が右ハンドルであることから、左ハンドルの買取査定は下がる傾向にあるのでしょうか?
結論から書くと「必ずしもそうとは限らない」となります。
左ハンドルが安全性において右ハンドルに劣るのは否定しようのない事実であるものの、それ以外の部分で左ハンドルにしかないメリットも存在するからです。
そのほとんどは「元々左ハンドルとして造られた」という理由に起因するもの。
輸入車の多くは元々左ハンドルで設計されています。それを右ハンドルにするわけですから、様々なパーツの取り回しが変化しダイレクト感やリニア感が無くなってしまったり、フィーリングが変化するといったことが起こりえます。
かつては無理やり右ハンドルにしている車も存在していたことから、「右ハンドルの輸入車は壊れやすい」なんていわれていた時代も。
ペダルレイアウトの問題
近年はメーカーもグローバルな戦略により左右のハンドルを想定して造られる場合も多く、そういったことは少なくなったものの、MT車(マニュアル車)のペダルレイアウトなどは物理的に左ハンドルのほうが優れる場面も多くなります。
というのも、MT車はAT車と違い3ペダル必要なのでどうしても1つ1つのペダル間に余裕がなくなりがち。加えてタイヤがある位置(ホイールハウス)の関係上右ハンドルでは右側が狭くなりどうしてもアクセルを左に寄せる必要が出てきます。
そうなると他のブレーキペダルやクラッチペダルも必然的に左に寄ってしまう、もしくはペダル間をさらに狭くする必要があるのです。
これが左ハンドルなら左のホイールハウス上に足を置くフットレストを設置でき、右足を多用する車の運転において非常に無理なくペダルを配置できるのです。
この問題、比較的大きな車であれば足元の幅にも余裕がありそれほど問題になりませんが、コンパクトな車であれば足元の幅が狭くタイヤハウスも近いため右ハンドルではペダルレイアウトが窮屈になりがち。
私の家族がアバルト500のMT右ハンドルに乗っておりたまに私も運転するのですが、ペダル間が狭く慣れないあいだはブレーキを踏みながら若干アクセルにも足がかかっていた…なんて事も。
故障やペダルのフィーリングに関しては左ハンドルと右ハンドルで差はなくなったものの、足元の狭さという物理的な問題に関しては解消されていない部分もあるのです。
ウインカーレバーが逆という問題
そしてもうひとつ、輸入車のウインカーレバーが左である問題も。
AT車であれば「間違えてワイパー動かしちゃった」程度の問題で済む一方、右ハンドルのMT車だと左手でシフトノブとウインカーの操作をしなければならず若干忙しくなることも。
そういった点において日本車の「左手シフトノブ・右手ウインカー」の真逆となる「右手シフトノブ・左手ウインカー」の左ハンドルは無理がありません。
ただ、結局は慣れの問題で1時間も運転すれば順応しますけどね。
しかしこういった「左ハンドル車本来が持っている自然さ」にこだわる人も多く、特に趣味性の高いスポーツ系MT車は左ハンドルにも根強い人気があります。
今ではポルシェなども右ハンドルが増えたとはいえフェラーリやランボルギーニといった高級スポーツカーは左ハンドルの方が高い値が付きますし、そもそも左ハンドルしかない場合すらあります。
こういった車は査定においても左ハンドルのほうが高値が付く場合が多く、輸入車の多くが右ハンドルになったとはいえ、必ずしも左ハンドルのほうが査定が低くなるかといえばそんなことはないのです。
■趣味性の高いスポーツ系の車は左ハンドルの方が高値の場合も
結論:左ハンドルと右ハンドルどちらが高く売れる?
本題の「輸入車の査定において左ハンドルと右ハンドルどちらが高いか?」では、2015年現在多くの場合右ハンドルの方が査定額は高くなる傾向にあります。
それは現在では輸入車といえど右ハンドルの需要の方が圧倒的に多いことに起因しており、左ハンドルのステータス性がどんどん薄れゆく現状を見れば今後左ハンドルはさらに不遇の扱いを受ける可能性もあります。
一方で希少性や趣味性の高い高級スポーツカーやMT車では左ハンドル自体が希少となり、需要が供給を上回ることによって左ハンドルの査定額のほうが高まることは十分に考えられます。
結論としてはベンツやBMWといった高級セダンやエントリーモデルなど多くの車種では右ハンドルの方が査定は高く、一部のスポーツカーやMT車では左ハンドルの方が高いという結論になるでしょう。
多くの輸入車の場合、よほどの強いこだわりがない限り左ハンドルに大きなメリットはなくデメリットばかりが目立つ状況といえます。あえて左ハンドルを選ぶ理由はなくなってきているというのが実情。
ただし、そもそも輸入車のリセールバリューは低い傾向にあることから、これから輸入車の購入を考えているのであれば、素直に自分が乗りたい車を自分の運転したいハンドル位置で購入するのが一番だと思います。
自分なりのこだわりなど何かしらの理由があるからこそ日本車ではなく輸入車を購入するのですよね?であれば将来受けるであろう買取査定の差額など考えるべきではないと私は考えます。
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