フォルクスワーゲン排ガス不正で査定に悪影響?

独フォルクスワーゲン社の不正で査定は下がる?

フォルクスワーゲンといえばドイツの大衆車メーカー。トヨタと1、2を争う世界的な自動車メーカーとあって知らない人はほとんどいないと思います。

日本に入ってくる輸入車の販売台数では2015年以降はメルセデスに抜かれたものの、2002~2014年まで常にNO.1を誇っていました。

それほどまでに強かったフォルクスワーゲンが2015年以降メルセデスやBMWに押されるようになったのは、景気回復により高級車志向が高まったこと以外に、排ガスの不正問題が足を引っ張っているのかもしれません。

今一度フォルクスワーゲンの排ガス不正問題についてクローズアップしてみましょう。

フォルクスワーゲンの排ガス不正とは

独フォルクスワーゲンの排ガス不正

フォルクスワーゲンの排ガス不正問題が表面化したのが2015年9月。

この排ガス不正はアメリカで販売されるフォルクスワーゲン社のディーゼル車に積まれた不正ソフトウェアが問題の発端で、アメリカでの厳しい排ガス規制を不正なソフトウェアによってパスしていました。

その仕組みは、フォルクスワーゲンのディーゼル車に積まれた不正ソフトウェアが排ガス試験でのステアリング操作やスピード、エンジン持続時間や圧力などの要因を分析し、試験走行だと判断した場合過剰に燃料を噴射し窒素酸化物(NOx)といった有害物質の浄化作用を強めるというもの。

一方で試験走行ではない一般の走行では燃料の噴射を抑え燃費性能を高めるようなプログラミングをされていたことに明らかな悪意を感じます。

燃料の噴射を抑えれば燃費は良くなりますが、窒素酸化物(NOx)などの有害物質多く排出されてしまいます。窒素酸化物は燃料が薄い方が発生しやすいのです。

反対に燃料の噴出を多くすれば窒素酸化物などの有害物質の排出は抑えられるものの、当然ながら燃費は悪化するため、試験走行か一般走行かを不正ソフトウェアが判断し燃料噴射の量を調整していました。

一般走行時の有害物質は試験走行時に比べ最大で40倍に上ることもあり、フォルクスワーゲンが環境問題と燃費の板挟みで苦労したうえでの苦肉の策だったのかもしれません。

当初はディーゼル車のみに行われた不正と見られていましたが、その後ガソリン車の不正も取りざたされ、実際に本国の一部車種では不正が見つかっています。

ちなみに日本では当時ディーゼル車の正規販売は行われておらず、かつガソリン車に関しても不正に該当するものはなかったようです。

とはいえこの問題によるブランドイメージの低下は避けられないでしょう。

不正発覚後のフォルクスワーゲンの対応

独フォルクスワーゲン社の一連の不正はディーゼル車を販売していない日本においてはまったく無関係な問題と同社は発表しています。しかしブランドイメージの失墜は免れず日本国内において2015年10月の販売台数は前年同月比で48%減と半減しています。

米では問題のディーゼルエンジン車の所有者に対し自由に使える500ドルのプリペイドカードとフォルクスワーゲンのディーラーでの各種支払いに使える500ドルの金券をセットにした計1,000ドル(約12万円)分の金券を支払うと発表。

信頼回復に躍起になっている印象を受けますが、事が予想外に起こってしまった問題ではなく明確な悪意を持って行われた不正であるため、フォルクスワーゲンが再び信頼を取り戻すには相当な期間が必要と考えられます。

それは当然日本国内におけるフォルクスワーゲン車の査定にも響いてきます。

2015年10月の販売台数が半減した事からもディーゼル車を販売しない日本においてもブランドイメージの低下は明白で、それは新車市場のみならず中古車市場にも波及します。

仮に現在取りざたされているガソリン車での不正が事実であるとすれば日本においても影響は大きくなると見られ、今後の動きに注目が集まります。

中古車の価格を決める要因は1にも2にも「人気」であり、欲しがる人間が少なくなれば中古車価格は下落し、当然それは買取の査定額にも影響してくるでしょう。

■日本にVWディーゼル車はないがブランドイメージの低下は避けられない
■日本での2015年10月の販売台数は前年同月比で48%減
■ガソリン車での不正も発覚すれば影響は計り知れない

フォルクスワーゲンの排ガス不正による査定への影響

排ガス不正による査定への影響

日本では問題になっているディーゼル車販売はないフォルクスワーゲンですが、ブランドイメージの低下により中古車価格や買取時の査定額の低下は避けられない状況になっていると思って間違いありません。

今回の件に関し某大手車買取業者2社にメールで「フォルクスワーゲン車の査定は下がるのか?」について問い合わせたところ、2社とも「中古車市場での動向次第だから何とも言えない」と明言は避けておりました。

しかしこれは「中古車の売れ行きが悪くなれば価格を下げる」と暗に明示しており「影響が無いとは言い切れない」というのが本音だと思われます。

確かに日本でのディーゼル車販売は行われておらず日本国内において不正は一切無いとしても、売れ筋のポロやゴルフといった輸入車に乗る方は多かれ少なかれ「外車のステータス」的なものも含めて購入しているはず。

であれば、ドイツ車というステータス以上に“不正を行っている会社の車”という印象が強まっている現在、これらに乗る理由は薄れていると言っていいでしょう。

輸入車は特に「日本で販売されているVW車は不正されていないから」という理屈よりも「会社全体のイメージ」という目に見えない要素が重要であり、これを損なったフォルクスワーゲン車の売れ行きは陰り、買取査定は当面厳しいものになることが予想されます。

■某大手車買取業者は明言を避けたものの影響はあると受け止めるべき
■ステータスが大事な外車においてブランドイメージの低下は致命的

不正が発覚後の業績は?

排ガス不正によりアメリカでは147億ドル…当時のレートで1兆5000億円もの膨大な制裁金を支払うなど大きな損失を被ったフォルクスワーゲン。当然ながらその後の販売にも悪影響を及ぼしそうなもの。

しかし、フォルクスワーゲンの世界販売台数は2015年こそ前年に比べ減少したもののその後は増加に転じ、2016年、2017年共に1000万台を超え世界一。2018年も前年を上回るペースで売れ続けています。

先進国では排ガス不正の影響がいまだ残るものの、中国をはじめ新興国での販売が好調で、それにより世界一をキープしているとのこと。

ただし、日本においては2015年以降の販売台数減少が顕著。「信頼性」と「ブランド」に大きな傷を付けたわけですから、わざわざフォルクスワーゲンを買う必要はないという判断なのかもしれません。

2018年には新たな不正が発覚

フォルクスワーゲンの新たな不正

2015年に排ガス不正で世界的な問題になったフォルクスワーゲン。数兆円という賠償金や損失を生み出した一連の騒動に懲りてその後は健全な運営をしているのかと思いきや、2018年に新たな不正が。

2018年12月、フォルクスワーゲングループジャパンは、完成検査時の燃費・排ガスの抜き取り検査において、「無効」としなければならない事案を「有効」と処理していたと発表。

その割合は抜き取り検査全体の7.5%にあたる83件にのぼっています。

この問題は意図的な不正ではなく人為的なミスであると発表。試験条件の逸脱はあったものの測定結果は正規の数値の範囲内に収まっていることから、リコールの対象にもならないらしい。

とはいえ、スバルや日産などの試験不正が相次ぐ中での今回の問題。自動車業界全体のモラルが問われているのは間違いありません。

不正を受けフォルクスワーゲン車の売り時は?

今現在フォルクスワーゲンの車を所有している方、特に近々乗り換えや売却を考えていた方には今回の一連の不正は非常に迷惑なものだと思われます。こういった問題が表面化している今フォルクスワーゲン車の売り時はいつなのか?

これは非常に難しい問題。これからの問題の広がりや独フォルクスワーゲン社の対応によって大きく異なってくるのものの、一番良いのは問題が終息しフォルクスワーゲン社の信頼が回復した後であるのは間違いありません。

しかしそれまでどの程度の期間を要するのかが読めず、仮に問題が長引き2年3年という歳月を必要とするのであれば、それまでの経年劣化や走行距離の増加、年式の落ち具合によって車の価値自体が大きく下がってしまいます。

例えばフォルクスワーゲンの信頼が揺らいでいる今車を売却した場合と、1年後に信頼が回復していると仮定しそこまで売却を待った場合、どちらが高く売れるのか?

たとえVW社の信頼が回復しても車自体の走行距離の伸びや1年余計に落ちてしまう年式などを鑑みれば、おそらく今すぐに売った方が買取額は高いか、もしくはフォルクスワーゲンの信頼回復が順調だったとしてもせいぜい同等程度と見ていいでしょう。

フォルクスワーゲンの車を所有し近々売却などを考えていた方は、今回の一連の問題は一種の「事故」と割り切り当初の予定通りに売却した方がよいと思われます。

もし同じフォルクスワーゲン社の車に乗り換える事を考えているのであれば、問題の渦中にある今下取りや値引きが優遇される可能性があり、場合によってはお得に買い換えられる可能性もあります。

問題発覚後日本での販売がやや苦戦しているようにかつての人気に陰りが見えていることから、新車・中古車共に今が買い時なのかもしれません。

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