純正や社外エアロパーツで買取額は上がるか?
車に付けるエアロパーツは本来車の空力を改善させるためのもので、揚力の低減やダウンフォースの獲得を目的としたモータースポーツ向けのものでしたが、低く構え引き締まった見た目がかっこいいとドレスアップ目的で乗用車にも取り入れられるようになりました。
かつてはエアロパーツといえば社外のものがメインでしたが、現在は純正オプション品も様々ラインナップされ、フルエアロのグレードや特別仕様車も多くなっています。
非常に高い人気を誇るエアロパーツですが、エアロパーツと一口にいっても純正や社外、フロントバンパーやスポイラー・サイドステップ・リアバンパーやスポイラーを付けたフルエアロから一部分のみに装着している場合もあり、エアロパーツを付けている車にも様々なパターンが存在します。
車によって状況が異なるエアロパーツを付けた車の査定はどうなるのでしょうか。
エアロパーツ装着車の査定基準
エアロパーツ装着車には純正や社外、一部分のみなど様々な形態がありますが、査定の基準を策定している日本自動車査定協会(JAAI)からエアロパーツの評価の指針が示されています。
ここでの評価は純正オプションのフルエアロを付けた場合の評価で「1点=1,000円」で計算され、標準装備でフルエアロが付いている場合はその車種やグレードの基本となる査定額にそれらも含まれているためプラス査定の対象になりません。
ここでのクラス分けは「特・Ⅰ・Ⅱ」はスカイラインやマークXといった2500~3000ccクラス以上の高級車を、「Ⅲ・Ⅳ」はプリウスやカローラといった2000ccクラスから1000ccまでのコンパクトカーを指しており、キャブワゴンの「Ⅰ・Ⅱ」はアルファードやヴェルファイア、エスティマやデリカD5、ハイエースなどのクラスを、「Ⅲ・Ⅳ」はノアやヴォクシー、セレナからアトレー7など1000ccまでのワンボックスカーを指し、軽自動車はエブリィワゴンやアトレーワゴン、タウンボックスなど社用車に使われる軽バンの5ナンバー版を指しています。
比較的高い評価を得ることができる純正のフルエアロ(フルスポイラー)ですが、バンパーの下に装着するような控えめのリップスポイラーなどでもフルで付けると工賃込みで15万円は下らず、大きく見た目を変えるようなものは20万円以上することも珍しくありません。
そう考えると5年乗ってプラス査定は3~5万円ほどですので、装着する費用を考えると必ずしも高い査定を得られるとは言えません。
■高い評価を得る純正フルエアロも標準装備ではプラス査定にならない
■純正フルエアロは20万円以上も珍しくなく実質のプラス幅は大きくない
社外のエアロパーツの評価は?
純正オプションのフルエアロが比較的高い評価を得ることは間違いないものの、社外…つまり純正オプションでない他メーカーのエアロパーツはどうなのでしょう?
社外のエアロパーツには主に3つのデメリットがあります。
- ■パーツの質が悪い
- ■フィッティングが悪い
- ■車のデザインを損なう可能性がある
この中で「パーツの質が悪い」と「フィッティングが悪い」はイコールになる部分もあるのですが、比較的薄めのFRPで作られる社外エアロは波打っている場合が多くそのまま塗装して車に装着するとツルッとした車本体の塗装面に対しエアロは波打ち非常に見てくれが悪くなります。
また、社外のエアロは純正バンパーや外板に近い精度で作られる純正エアロパーツと違い、調達してきた1台の車にフィットさせるように作るため個体差などの影響を受け同じ車でもピッタリ付かないことが非常に多く、さらにFRPの波打ちや質のムラなどによってフィッティングの悪さに追い打ちをかけます。
パーツの波打ちを解消するには板金屋で表面にパテを塗って削るを繰り返し“面”を出してもらう必要があり、フィッティングの悪さも板金屋で様々な加工を施しぴったりと合うようにしてもらう必要があるため、塗装代と重なってかなりの費用がかかります。
しかも純正エアロと違い尖った・奇抜なデザインの多い社外エアロパーツは車本来のデザインを壊してしまうことも多々あり、格好良くなると思って付けたもののかえってダサくなる車が後を絶ちません。
それらのことから社外エアロは基本的にプラス査定になりづらいのです。
一般的な感覚、もしくは査定士の好みにより「カッコいい」と感じるフルエアロや、有名ブランドのフルエアロであれば査定にプラスになることもありますが、それでも純正フルエアロに比べれば大したプラス評価は得られないでしょう。
■よほど格好の良いものや有名ブランドでないとプラス査定にならない
一部分のみエアロパーツを付けている場合の評価は?
エアロパーツを付けている車の中にはバンパーのみ、サイドステップのみというように一部分のみにエアロパーツを付けている車を見かけることがあります。
基本的にこういった車のエアロパーツは社外品であることが多く、また元々フルエアロだったもののぶつけてダメにしてしまい、結果としてバンパーのみ、サイドステップのみになってしまった…ということもあるでしょう。
一部分…特にフロントバンパーのみが社外品に代わっている場合、事故で前をぶつけてバンパー交換を余儀なくされたからついでに社外品に交換したという可能性も考えられ、またフロントのみ迫力がありサイドやリアは貧弱というアンバランスな見た目になってしまうことも多いもの。
それでなくても評価の低い社外エアロが一部分だけではプラス査定を期待できるはずもなく、「波打っている」「フィッティングが悪い」「ドアがサイドステップに干渉し下が錆びている」といったように質の低いものであればマイナス査定の可能性が高いでしょう。
一方、一部分のみ純正エアロを付けている場合は全体的なバランスにもよりますが、若干のプラス査定は期待できるでしょう。
ただしフルエアロが標準装備の車は欠品扱いとなり大きく査定を落とす原因となります。
■純正オプションのエアロパーツなら一部分でも若干のプラス査定か
エアロパーツが査定に与える影響のまとめ
基本的にエアロパーツは純正オプションがもっとも評価が高く、社外のエアロパーツでプラス査定を得るには有名ブランドやセンスの良いもので統一されたフルエアロに限ります。
高い評価を得る純正エアロですが、オプション品をフルで付けると20万円くらいは覚悟する必要があり、これから車を買おうという人が安易に「将来の査定でもプラスになるから」と考えると思わぬ出費になってしまう可能性があります。
「エアロパーツ」といっても性能的なことはほとんど期待できない自己満足のドレスアップパーツなので、よほど気に入った場合でない限り無理に付ける必要はないでしょう。
特に社外エアロは綺麗に付けようとすると塗装費用と取り付け工賃以外に面出し、フィッティング作業が必要になり非常に高い出費となるわりに、査定では高い評価を得ることができないため、それなりの覚悟が必要になります。
車本来のデザインとの親和性、将来の査定を考えれば純正オプションのエアロパーツ以外に選択肢はないという結論になってしまうでしょうか。
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