車のガラスに傷やひび割れがある場合の査定は?

車というのは乗っている人間からしても売却する際においても無傷であるに越したことはありません。しかし人間の足では考えられないスピードで走っているため飛び石などでどうしても傷はついてしまうもの。

そんな走行中の飛び石などによる傷において最も心配されるのがガラスです。

前の車が跳ね上げた石がフロントガラスに当たることは珍しくなく、いつの間にか傷やひび割れになっている場合も。そういった傷は買取査定においてどの程度影響するのでしょうか?

ダメージを受けやすいフロントガラスはもちろんサイドやリヤのガラス含め、車のガラスにまつわる査定について詳しく解説していきます。

    目次
  1. フロントガラスの傷やひび割れによる査定への影響
    1. うすいワイパー傷や小傷、修理跡があるもの
    2. フロントガラスに交換を要する傷や割れがある場合
    3. 減点と交換の基準は?
  2. 自動ブレーキ搭載車のガラス交換は高い
    1. 自動ブレーキ搭載車のガラス交換が高額になる理由
  3. 車両保険の適用も視野に
  4. ドアやリヤのガラスに傷がある場合の査定
    1. ガラス交換が必要な場合は?
  5. 車のガラスの傷による査定への影響まとめ

フロントガラスの傷やひび割れによる査定への影響

車のフロントガラスは運転を妨げる傷やひび割れがないことが前提となります。運転中のほとんどはフロントガラス越しに車外を見ているわけですから、視界を遮りかねない傷があると危険というのがその理由。

また、小さなものでも亀裂がある場合、何らかの衝撃によりひびが一気に拡大してしまう可能性があるのも大きな問題になります。

そのため、よほど小さなものでない限り傷がある場合は減点対象となり、ある程度の大きさになると交換対象に。

うすいワイパー傷や小傷、修理跡があるもの

交換するほどではないが薄く小さい傷や修理跡が確認できるものは20点の減点となります。1点当たり1,000円の計算になるので、実質2万円のマイナス査定ということに。

買取の際は傷を修理してあってもマイナス査定になってしまうため、交換を要しない程度の傷やひび割れであれば直さずに査定に臨む方がお得といえます。

フロントガラスに交換を要する傷や割れがある場合

一方、フロントガラスの傷がある程度大きい場合は交換が必要とみなされマイナス査定幅が大きくなってしまいます。

具体的な交換対象の定義はというと…

  • ワイパー傷などで爪が引っかかるもの
  • 飛び石などによりひび割れ、亀裂があるもの
  • 修理の痕跡は見られるもひび割れが確認できるもの

これらの理由によりフロントガラスの交換が必要だと判断された場合の減点は以下の通り。

減点
グレーやブロンズ、ブルーガラスUVカットガラス等のカラーガラス 100
無色透明のガラス 65

判断に迷うのは自分の車のフロントガラスがカラーガラスなのか無色透明なのかという点かもしれません。

平成初期くらいまでは無色透明のガラスが使われることがほとんどでしたが、その後は徐々にグリーンガラスが普及し、現在において無色透明のガラスを採用している車種は無いといっても過言ではありません。

車のガラスは透明だと思って乗っている人は一度よく見てみてください。ほとんどの場合は薄いグリーンであるはず。

つまりフロントガラスの交換を要するほどの傷やひび割れがある場合、ほとんどのケースにおいて10万円のマイナス査定になると考えておいた方がいいでしょう。

減点と交換の基準は?

フロントガラスに傷がある場合の査定において最も気になるのは「どの程度から交換になるのか?」という点ではないでしょうか。日本自動車査定協会(JAAI)の査定基準においてそのあたりが明確にされていません。

ゆえに買取業者やディーラー、査定士によってある程度判断が異なることが予想されます。A社ではギリギリOKだったものがB社では要交換と査定される場合も。これは一括査定などで複数の業者に確認する必要があります。

ただし、目安は存在します。

一般的に車検に通るレベルの傷やひび割れというのは直径1cm程度までとされます。実際私が載っている車には直径5mmほどの飛び石による欠けがありますが、何の問題もなく車検を通過します。

また、ガラスリペアにより補修できる大きさの限界は2~3cm。500円玉に隠れる程度のものであればリペアをして車検に通すことが可能になるため、傷の大きさ1~2cmくらいが20点減点と交換の境目になると考えられます。

当然ながら査定士によって判断は異なりますし、傷の質によっても変わってくるでしょう。あくまでも目安であることをご了承ください。

自動ブレーキ搭載車のガラス交換は高い

自動ブレーキ搭載のフロントガラス交換

フロントガラスの交換を要するほどの傷やひび割れがある場合、100点の減点(10万円のマイナス査定)を覚悟する必要がありますが、これはあくまでも特殊なシステムを搭載していないケース。

近年急速に普及が進む自動ブレーキのカメラが搭載されている場合のフロントガラスの交換は状況が異なります。そう、減点幅がさらに大きくなってしまうのです。

カメラ無 カメラ有
グレーやブロンズ、ブルーガラスUVカットガラス等のカラーガラス 100 150
無色透明のガラス 65 100

このように減点はさらに大きくなり、自動ブレーキシステムを搭載した車でカラーガラスの交換になると実に15万円のマイナス査定に。

ガラス自体にカメラが埋め込まれているわけでもないのに、なぜこんなことが起きるのか?

自動ブレーキ搭載車のガラス交換が高額になる理由

フロントガラス交換と一口に言っても選択肢は複数存在します。純正品や大手メーカーの社外品、輸入ガラスなど。この中で最も高価なのは言うまでもなく自動車メーカーの純正品となります。

自動ブレーキなどのカメラが装着されていない場合は安価な輸入ガラスでも全く問題はありません。輸入ガラスといえど大手のガラスメーカーが一定の基準に沿って製造しているものですからね。

しかし、自動ブレーキシステムなどのカメラを搭載している場合、必ず自動車メーカーの純正品を使用する必要があるのです。フロントガラス越しにカメラで測定しているため透過率や曲率が厳密に定められているのでしょう。

また、フロントガラスを交換するとカメラの調整が必要になり、それが2~3万円かかるのです。ぼったくり感満載ですが安全のためには仕方ないのでしょう。

カメラの調整はディーラーで行う必要があり、フロントガラスも純正品を使う以上同時に交換するのが一般的。そうなればおのずと高額になってしまうのです。

ちなみに、自動ブレーキシステムを搭載した車のフロントガラスをディーラーで交換すると軽自動車で15万円前後、乗用車の場合20万円前後の費用がかかります。

買取査定において15万円のマイナス査定になるのは致し方ないといえるでしょう。

車両保険の適用も視野に

自動ブレーキシステムなどの装備が付いていないならまだしも、これらを搭載している場合は自動車保険を使用することも検討したほうがいいでしょう。もちろん車両保険に入っているという前提になりますが。

一般的な事故で自動車保険を使う場合、等級が3等級下がるうえに3年間は割引率が低くなる「事故有係数」が適用されるため、場合によっては数十万円の負担増になってしまいます。

しかしガラス交換であれば「1等級ダウン事故」という扱いになり、下がる等級は1等級、事故有係数の適用も1年のみであるため、現在の等級が高く保険料が安い人は自動車保険を適用したほうがトータルで得をする可能性が高くなります。

分かりやすく説明すると、自動ブレーキ搭載車が要ガラス交換と判断された場合のマイナス査定幅は15万円。一方、自動車保険を使用した場合、1等級ダウンと1年間の事故有係数の負担増が5万円といった感じでしょうか。

11等級から19等級まで、1等級あたりの割引率は1%しか変わらないため、将来にわたる負担増もほとんど気にする必要はないでしょう。最高の20等級であればなおさら自動車保険を使いたいところ。

ただし、場合によっては保険適用に自己負担が発生する「免責」を設定しているケースもあるでしょう。等級が高く免責が5万円以内であれば保険を適用したほうが得をする場合が多くなる一方、免責が10万円を超える場合はマイナス査定を受け入れそのまま買取してもらったほうがいいケースが増えるでしょう。

ちなみに、自動車保険によってフロントガラス交換が行えるのは一般の車両保険のほか、主に車対車の事故を対象にし自損事故は対象外のエコノミー型車両保険でもOK。何らかの車両保険に入っていれば保険でガラス交換が行えます。

ドアやリヤのガラスに傷がある場合の査定

リヤガラスやドアガラスの傷の査定

ここまでは傷が付きやすいフロントガラスについて取り上げてきましたが、ドアやリヤ、サンルーフなどのガラスに問題がある場合の査定はどうなるのか?

リヤガラス、ドアガラス、三角ガラス、サンルーフガラスについて、傷などの問題が軽微な場合の減点は以下のようになっています。

減点
ガラスに文字が書いてある(1台分) 10
カードサイズ未満の線傷
運転席、助手席のフィルム貼り(1台分)
見苦しいフィルム貼り(1台分)

運転席や助手席にフィルムが貼ってあったり、リアガラス等にフィルムやステッカーが見苦しく貼られていたりする場合、それを剥がす作業が必要になるため10点(1万円)のマイナス査定になります。

また線傷がある場合、短いものであれば10点減点に。

ガラス交換が必要な場合は?

小さな傷であれば小幅な減点で済むリヤガラスや三角ガラスですが、カードサイズを超える長さの線傷やひび割れ、亀裂がある場合は交換が必要になり、部位に応じてマイナス査定の額が異なってきます。

各ガラスが用交換となった場合の減点を見てみると…

減点
ドアガラス(サイドガラス含む) 20
三角ガラス 10
サンルーフガラス 55
リヤガラス カラー・熱線入り 60
リヤガラス 熱線入り 45
リヤガラス 熱線なし 35

面積が大きくなりがちなサンルーフやリヤガラスの交換が必要と判断された場合、減点は大きくなる傾向に。

フロントガラスに比べれば傷が付きにくいこれらのガラスですが、物をぶつけてしまったりいたずらされたりといった可能性もなくはありません。減点されないためにもできるだけ大事に乗りたいところです。

車のガラスの傷による査定への影響まとめ

車のガラスに傷が付くケースのほとんどは進行方向に面しているフロントガラス。それだけに面積は非常に大きく、傷やひび割れがある場合のマイナス査定額は高額になりがちです。

特に自動ブレーキシステムが付いている場合は大幅な査定ダウンを覚悟しておく必要があるでしょう。

とはいえ自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)は2020年頃から新車への搭載が義務化される見通し。そうなればフロントガラスの傷による査定への影響は非常に大きなものになるでしょう。

とはいえ飛び石を防ぐことはほぼ不可能。少しでも飛び石を受ける可能性を減らすために“トラックなど大型車の後ろを走らない”“高速道路はできるだけ使わない”などの方法もありますが、それもたかが知れています。

飛び石を避けることが無理である以上、私たちができることは傷やひび割れができた際に、早急にリペアを行うことくらいでしょうか。傷を放置していると温度差や運転の衝撃などで広がる恐れがありますからね。

現在フロントガラスにリペアできない大きさの傷があり、かつ自動ブレーキを搭載している場合は、自動車保険の適用も視野に入れてみてはいかがでしょうか。

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