修復歴がある車の具体的な査定の減少額
車に乗っている以上、どんなに慎重な運転を心がけていても追突やもらい事故などを100%回避することは不可能と言わざるを得ません。
仮に100%相手に過失があったとして、相手側から修理費を全額出してもらい直したとしても、一定以上の事故であれば修復歴車(事故車)扱いとなり買取の際大きなマイナスになってしまいます。
そんな修復歴のある車が買取査定に大きな不利になることは知られていても、どこを修理すれば具体的にどのくらい査定が下がってしまうかは分からない人も多いのではないでしょうか。
ここではそんな具体的な査定の減少額について見ていきたいと思います。
修復歴や事故歴の定義とは
修復歴が査定に与える影響に関しては「修復歴や事故車の定義と査定に与える影響」でも詳しく取り上げているので、細かい点はそちらを参照してもらうとして、ここではまず簡単に修復歴の定義について見てみましょう。
修復歴車とは上図の「車の骨格」となる部分を修理・交換した車のことを指し、かなり豪快に側面をこすったとしてもドアやフェンダー、バンパーといった外板の板金修理・交換のみであれば修復歴車・事故車とはなりません。
逆に、事故を起こしていなくても何らかの理由で天井やピラーを凹ませてしまい修理した…といった場合は修復歴車になってしまう可能性があるということでもあります。
修復歴車とは必ずしも事故を起こした車というわけではなく、特定の部位を修理・交換した車ということになるのです。
■事故を起こしてなくても特定の部位を修理すれば修復歴車になる
修復歴があると査定でどのくらい減額されるのか
修理・交換すると「修復歴車(事故車)」になってしまう部位を上で示しましたが、部位によってランクが付けてあり、フレームやフロアなどの重要な部位の修復は他の部位より査定額が下がってしまいます。
日本自動車査定協会(JAAI)が定める修復歴車の減額(減点)の算出には以下の表を使い、車のクラスに関しては「特C~特A」はマジェスタやシーマ、レクサスのGS以上などの高級車を、「Ⅰ」はクラウンやフーガ、セドリック、レジェンドなどのほどほどの高級車、「Ⅱ~Ⅲ」は1800~3000ccクラス、「Ⅳ」は1500cc以下のコンパクトカーを指します。
詳しい車種のクラス分けはこちらを参照してください。
では実際に修復歴車の査定額算出法を見てみます。
この表の用いた減額の計算式が下記のようになるのですが、若干ややこしいのでいくつか例を挙げながら計算してみます。
- √基本価格(千円)×√みなし修理費(千円)÷4.8×係数=減点数(減少額)
トヨタプリウスのピラー交換の例
仮に買取査定の基本価格が100万円のプリウス(Ⅲクラス)のピラーを交換したとすれば修理のランクは「B」となり、みなし修理費は800(千円)で係数は1.3。それを計算式に当てはめると…
- √1000(千円)×√800(千円)÷4.8×1.3=242.2
…と、242点が減点されることに。1点が1,000円の計算になるのでこの例では修復歴のない車に比べおよそ24万円買取額が下がってしまうことになります。
ピラー(柱)というのはモノコックボディの根幹ともいえる部分。安全性にも大きく影響する部分ということもあり、これを切断し交換・溶接という状況は買取査定において大きなマイナスになります。
クラウンのフレーム修正の例
もうひとつ例を挙げましょう。基本価格が200万円のクラウン(クラスⅠ)でフレームにまで及ぶ事故(ランクC)をしたとすると、みなし修理費は1800(千円)で係数は1.5。そこからはじき出される減額幅は…
- √2000(千円)×√1800(千円)÷4.8×1.5=592.9
約60万円も査定額が下がってしまうことになります。
仮にフレームが歪むような事故に遭ったとしても、腕の良い板金屋がしっかりと修理すれば走行性能に影響が出ることはありません。しかしそんなことはお構いなしに「フレームを修正した」という事実のみでこれだけ査定額が下がるのです。
そこには「新車の状態から大きく手を加えた車に乗りたくはない」「しっかり直っているか分からない」という消費者心理が働いているのでしょう。
ちなみに、修復歴減点の上にある「外板価値減点」というのは、フェンダーとドアや前後ドアなど連続する外板を交換した場合や、溶接が必要なリアフェンダーやサイドシルの交換など、修復歴には入らないものの評価が下がってしまうものになります。
もし計算機をはじいても上記の数字が出ない人もいるかもしれません。一応私の手元の計算機を使用した計算方法はと言うと…
- 2000√×1800√÷4.8×1.5=592.9
…という順番で押しています。計算機によって多少違うかもしれませんが参考にしてください。
なお、複数の箇所に修復歴がある場合もっとも重いランクや係数を適用します。
■修復歴に入らなくても溶接が必要な修理は査定額が下がる
■複数個所に修復歴がある場合はもっとも重いランクと係数を適用する
修復歴車の査定額減少率の目安
上記の計算式は日本自動車査定協会(JAAI)が定めるものであるため、これを使えばかなり正確な査定額が算出できるものの、ちょっとわかりづらいですよね。計算も面倒だし。
というわけで、どの程度の修理でどのくらいの減額率になるのか、大体の目安を掲載しておきます。
修理箇所 | 査定減額率 |
---|---|
ドアやフェンダーなど複数パネルの交換 | 4~7% |
|
7~10% |
|
13~18% |
|
20~25% |
|
30~35% |
修復歴によってどの程度の減額率になるかは、損傷や修復の程度、場所、車の年式、車種など様々な要素が絡んできますが、平均すればこのくらいになります。
軽微なものであれば10%減程度で済む一方、フレーム修正など大規模な修理が必要なものは3~4割ほど買取査定額が低くなってしまう恐れも。
自爆など自分で起こした事故であればまだしも、こちらにほとんど過失がないにもかかわらずこれだけ減額されたらたまったものではないですよね。
具体的な修復歴車の査定額減少のまとめ
ここまで修復歴車の査定額について触れてきましたがいかがだったでしょうか?
実際は個別の車種ごとに若干の違いがあったり、査定員ごとに若干異なる裁量も加わってくるため上記どおりになるとは限りませんが、査定市の技能試験や登録・管理、実際に査定を行っての車両状態証明書発行などを行う日本自動車査定協会(JAAI)の基準ですから信頼性は非常に高いものとなっています。
もし事故などで修理した箇所が分かるのであれば、ネットで自分の車のおおよその基準額から上記の計算を行うと、買取査定でどの程度減額されるのかの予想がつくと思います。
もちろん、そんなまどろっこしいことをせずとも買取業者に査定をお願いすれば総合的な買取額を提示してくれますし、一括査定では業者による評価額の違いもハッキリ出ますから、気になる方は売る売らないに関わらず一度査定を行ってみてください。
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また一括査定では珍しく査定申し込みの時点で画面に売りたい車の概算価格も分かるという特徴があるため、その場である程度の査定額が想像できるというのも大きなメリットです。
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