冠水車・水没車の買取額はどのくらい下がる?
突発的な豪雨を指す「ゲリラ豪雨」という言葉を耳にする昨今、低い土地などで排水処理が追い付かない場合道路に水が溢れ、そこに車で入ってしまい動かなくなった車を「冠水車・水没車」と呼び、買取査定において大きなマイナスになります。
そういった車はよくニュースなどで映し出されることはあるものの、自分には関係ないと思っている人も多いのではないでしょうか。
しかしゲリラ豪雨はどこで起こるか分かりませんし、堤防の決壊や震災による津波など大規模災害による冠水の可能性も無いとは言い切れず、自分が当事者になってしまうことも。
水に浸かって動かなくなってしまった車は買い取ってもらえるのか? また買い取ってもらえるとして査定はどのくらい下がってしまうのか? 気になる疑問に答えていきます。
冠水車・水没車の定義
車のどこまで水に浸かってしまうと冠水車・水没車と呼ばれるのかというと、車内に水が入ったかどうかが基準になります。
車内の一番低い部分というのは足元…つまりフロアになりますので、フロアに水が入ってしまった場合は水没車となってしまいます。
冠水車・水没車というとマフラーやエンジンに水が入ったりCPUが故障したりして動かなくなってしまった車というイメージがありますが、マフラーなどの機関よりフロアの低い車も存在します。
ゆえに水没車だからといって動かないとは限りません。とはいえ車内に水が入れば錆や臭いの問題が発生するため、フロアに水が入った時点で水没車と定義。
一般的な車なら20cmくらいの水深であればゆっくり走ることで冠水することもエンジンが止まることもなく走り抜けることができますが、もしその中で止まってしまうと車高によってはマフラーの中や車内に水が入ってくる恐れも。
車内に水が入ってしまうと独特の嫌な臭いやサビなどが発生し、それを完全に取り除くのは困難を極めますので、水深の分からない水たまりにはとにかく入らないことが重要です。
水没車の買取査定はどのくらい下がるのか
冠水車・水没車というのはそうでない車に比べ査定額はかなり下がってしまいますが、具体的にどの程度下がってしまうのでしょうか?
これは日本自動車査定協会(JAAI)によって基準が定められており、それが下記のような査定基準になっています。
冠水した水位 | 減額率 |
---|---|
フロア~シート下 | 30% |
シート上部まで | 40% |
ダッシュパネルまで | 50% |
これは走りはもちろん機能的に問題がないことが前提になります。
フロアが若干冠水した程度であれば数日放置してマフラーなどを乾かせば機能的に問題なく動くことが多いものの、シートの上部まで冠水するレベルだと室内にあるCPUや電気系統はもちろんエンジンルームにもかなりの水が入ることに。
エアクリーナーから水を吸いエンジンの中に水が入ることによってウォーターハンマーが起きるとエンジンは使い物にならず修理費は膨大になります。
よほどの高級車でない限りこの時点で修理は現実的ではなく、保険を使っても時価額より修理費の方が高くつくことも多く、基本的には廃車扱いになるはず。
もし修理したとしても正規の買取価格の50~60%でしか買い取ってもらえないことを考えると、現実的に売却できるのはフロアに水が入る程度までとなるでしょう。
■シートまで冠水してしまうと修理費は膨大になり廃車が現実的
冠水したことを隠して売ることは可能か?
仮に冠水してしまったとしても、フロアがうっすら水に浸かった程度で車としての機能面にダメージが無い場合、買取の際黙っていればバレずに売れそうな気がしますよね。
買取業者の査定士が水没を疑う要因として挙げられるのは…
- カビや泥などによる車内の臭い
- 車内やエンジンルームの泥汚れ
- 金属部分のサビ
- シートベルトの汚れや色違い
- セルモーターの作動不調
- パワーウィンドウの不調
- エンジンの不具合
- ラジエーターコアの目詰まり
フロアにうっすら水が入った程度ではエンジンやパワーウィンドウ、シートベルトなど機関的な部分に関して不具合が出ることはほぼないので、査定士は臭いや車内で泥が乾いた跡、フロアなどのサビで判断することになります。
泥が乾いた後の砂やサビに関しては掃除や簡単なサビ取りをすることで査定士の目を逃れることができるかもしれませんが、一番問題になるのは「臭い」です。
一般的にな乗用車にはフロアにカーペットが敷き詰められており、足が乗る部分には別途フロアマットが置かれている状態。簡単に取り外しができるフロアマットの臭いはきっちり洗うことで取り除けるものの、フロアのカーペットを外すのは現実的ではなく臭いが残ってしまいがち。
それでもできる限りしっかりと洗った上で、芳香剤や消臭剤を入れるなどしつつ数ヶ月も乗っていれば気にならないレベルになることは十分に可能で、この段階で買取をお願いすればバレずに買い取ってもらうことも可能かもしれません。
ただし、売主は水没や冠水の事実を告知する必要があり、後からこればバレてしまうと損賠賠償や差額を請求される恐れがあります。
また、これはあくまでもフロアが少し冠水した程度の話であり、シートまで水に浸かってしまうと臭いを取り除くのは総取り換えでもしない限りほぼ不可能。
もしそういった車を修理して売却する場合、査定の段階でどうせばれてしまいますので、正直に申告したほうが査定士の心象も良くなるでしょう。
■水没の事実を隠して売り、後に発覚すると損賠賠償請求の可能性も
水没して動かない車は買い取ってもらえるのか
ここまでは水没しても乗れるレベル、もしくは修理して直した場合の話をしてきましたが、水没によりエンジンなどが壊れてしまい動かなくなってしまった車の場合は買い取ってもらえるのでしょうか?
不動車ということになると車としての価値はほとんどないに等しく、需要のある部品を外して海外向けに輸出するケースが多くなります。
昔と違いこういった車でも「買取どころか引き取ってもらうのに処分代がかかる」というったことはなく、最低でも0円、多くの場合はスクラップ資材として1万円程度で買い取ってもらえますし、車検などがまだ残っている場合は自動車税や重量税、自賠責保険の還付も考慮しもう少し高く買い取ってもらえるでしょう。
高級車やハイエースといった部品の価値が高く、また海外で人気が高い車種になると水没によって動かなくなってしまった場合でも思わぬ高額査定が付くこともあります。
水没や冠水などによって車が動かなくなってしまった場合は、自動車税や車検が残っているうちに買取してもらうことが高額査定を引き出すコツになりますので、カーネクストなど廃車専門の買取業者に相談してみて下さい。
保険を使って直すか、廃車・売却にするか
機関に問題がない程度の冠水であれば自分でできる限り掃除をして乗り続けることや買取してもらうことも可能ですが、自走できないほどの冠水になると修理するか廃車にするかの選択に迫られると思います。
車が新しくある程度市場価値があるものであれば車両保険で直すことも可能になりますが、臭いを完全に除去することは難しく、その後の故障リスクや買取額の減額を考えると、廃車や事故現状のまま売却して保険から損害額を受け取り新たな車を買うための資金に当てたほうが良いという考え方もできます。
ただ、このあたりは車の現在の価値や保険の等級、愛着などから損得の価値観は変わってきますので判断が難しいところです。
車両保険に入っているのであればまずは保険会社と相談し、修理費や損害額を総合的に判断し決めることになるでしょう。
一方、車両保険に入っていない状態では修理費などはすべて実費になってしまいますので、冠水し自走できないほどのダメージを受けた場合は廃車が現実的になります。
水没車・冠水車の売却をお考えの方は
車が水没してしまったが機関に問題がないため買取を考えている、もしくは動かなくなって売却を考えている人は一度「ナビクル車査定」での一括査定を検討してみて下さい。
ナビクル車査定での一括査定はガリバーやアップル、カーチスなど多くの有名買取業者が参加しており、その中から最大10社の査定を受けられ、私自身2度ほど査定をお願いしましたが、査定会社によってホンダフィットで約11万円、トヨタノアで約35万円の差が生まれました。
また一括査定では珍しく査定申し込みの時点で画面に売りたい車の概算価格も分かるという特徴があるため、その場である程度の査定額が想像できるというのも大きなメリットです。
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