車の内装の傷や汚れが査定に与える影響

車の内装の傷や汚れが査定に与える影響

車の傷というと外観(外板)を思い浮かべる人は多いと思います。傷や凹みがあれば誰が見ても目立つうえ、車の価値を直感的に判断できる点が大きな理由。だからこそ人は外観の傷に神経質になります。

一方で車の内装となると状況は変わってきます。車に乗る人間以外は傷や汚れの存在が分かりにくいうえ、家具と同じように“使っていれば傷が付いたり劣化したりするもの”という意識が働いていることもあり、内装の傷や汚れには無頓着な人も。

しかし内装の汚れや傷は外板と同様に査定に影響してきます。部位や傷の程度によって買取査定の際どの程度減額されるのか、詳しく解説していきます。

車の内装の標準的な状態とは

車の査定というのは目立った傷や汚れ、凹みなどがない状態を“標準”としており、そこから実車の傷や状態に応じて減点していくことが基本となります。

それは内装に関しても同様。減点されない標準状態はというと…

  • 内装は規定のものであり、破損、汚れ、シミ等のないこと
  • マット類に衰退、欠品のないこと
  • 積載物その他の理由による異臭のないこと

たったこれだけ。非常に単純明快ですね。しかし内容を精査してみるとこれが非常に難しいことに気付くはず。

要は新車からの標準の状態を維持しつつ、汚れや傷、シミがなく、かつ何らかの理由による臭いがあってもいけない。車も数年乗っていると内装にあちこち傷が付いたり、何ともいえない匂いが漂っていたり…なんて日常茶飯事ですからね。

何はともあれ、車買取査定において減点されない内装の状態というのはこういったものという前提で話を進めていきます。

車の内装の加減点の見方

これから内装の部位、傷や汚れの程度などによりどのくらいの減額(減点)がなされるのか書いていくことになりますが、より正確な査定額を知るうえで重要になる点が2つあります。

1点=1,000円である

内装の加減点に限らず、日本自動車査定協会(JAAI)が提供する査定基準は点数によって管理されており、加減点による査定額への影響は「1点=1,000円」となっています。

車のクラスによって係数をかける

加減点による査定額への影響は基本的に1点=1,000円です。しかし、内装に関してはそこに登録年数および車ごとに分けられた“クラス係数”をかける必要があります。

年もの 当~3年 4年 5年 6年~
係数 1.0 0.9 0.8 0.7

国産車
クラス 特C 特B 特A
係数 2.2 1.8 1.5 1.4 1.2 1.0 0.8 0.8

輸入車
クラス
係数 7.0 3.6 3.0 2.4 1.7 1.3 1.0

具体的な車のクラス分けに関しては「車買取査定時の車種別クラス分け一覧表」を参照してください。クラウンなら「Ⅰ」、ノアやプリウスなどは「Ⅲ」といった具合になります。

登録から4年経ったプリウスの場合、後述する減点が10点というケースは、「10点×0.9(年もの係数)×1.0(クラス係数)=9点」。つまり9,000円の減額ということに。

これらを踏まえたうえでご自分の車の内装による加減点を計算してみてください。

減点となる内装の状態

では実際にどういった内装の状態が減点になるのか詳しく見ていきます。

部品名 減点
内装部分の傷 10
シール、テープ、接着剤等の跡があるもの 10
ハンガーパイプの付いているもの 10
異臭(タバコ、ペット、芳香剤等)があるもの 40
ペット等の毛が付着しているもの 40
天井、内張り等にタバコのヤニが付着しているもの 40

これらはすべて1台単位になります。つまり内装部分の複数箇所に傷があった場合、傷ごとに10点減点されるわけではなく、1台まとめて10点減点ということに。

これを見るとタバコやペットに関する減点が大きいことに気付きます。将来的な買取査定のことを考えるのであれば、車の中でタバコを吸わない、ペットを乗せないことが重要になるでしょう。

修理が必要なケースのマイナス査定額

次に、内装に何らかの修理が必要になった場合の減点についても見てみましょう。

部品名 減点
ルームクリーニング 10
内装の著しい汚れ(ルームクリーニングとは別に) 5
1cm未満のビス穴、タバコのこげ跡、こげ穴、破れ、ほころびが2個以内 10
シートにへたり、天井にたるみのあるもの 10
カードサイズ未満のシミ(1個) 10
バンの室内塗装(1台分) 30
バンの室内板金 ※塗装及び板金は、板金減点(大)を上限とする(1台分)
30 50

ルームクリーニングが必要な車の場合、減点は10点…つまり1万円のマイナス査定ということになります。

また、何かを取り付ける際に開けたビスやネジの穴、タバコを落としてしまった際に開いた穴やこげも減点対象に。「ビス穴なんて修理できるの?」と感じるかもしれませんが、プラスチック素材であればリペアできるケースが多いんですよね。

車内の修理で比較的高額になるのはバンの室内塗装や板金。業務で使用するバンは内装が簡素で鉄板むき出しの部分が多く、しかも荒っぽく使われているため傷や塗装はがれ、凹み、サビなどが発生しがち。

そういったものを板金塗装で修理する必要があると3~5万円のマイナス査定になってしまいます。

交換が必要なケースのマイナス査定額

上記修理が行えないほどの傷や穴、汚れ、シミがあると部品の交換や張替対応となってきます。具体的な例を挙げると…

  • 1cm以上のビス穴、タバコのこげ跡、こげ穴、破れ、ほころび
  • 1cm未満のビス穴、タバコのこげ跡、こげ穴、破れ、ほころびが3個以上
  • 樹脂製部品の割れ、カードサイズ以上の傷
  • マット類の衰退が著しい場合又は欠品している場合
  • カードサイズ以上のシミ、カードサイズ未満のシミが2個以上

こういったケースでは交換、張替が必要になります。その際の具体的な減点について見ていきましょう。

部品名 減点
セパレートシート(クッション) 25 ビニール 20
セパレートシート(バック) 35 30
ベンチシート(クッション又はバック) 40 30
革シート・フロント(クッション又はバック) 50
革シート・リヤ(クッション又はバック) 100
天井内張り 30 ビニール 20
ドア内張り(1枚) 15
40 25
コンソールボックス、グローブボックス(1個) 15
ダッシュボード 45
灰皿、小物入れ(1個) 2
シフトノブ 3
サイドボード(1枚) 15
リヤシェルフ 10
ヘッドレスト(1個) 10
内装カバー類(1枚) 10
フロアマット(1台分) 35
トランクマット 10 ビニール 5
トランクルーム内張り 5 2
ルームミラー 10

マイナス査定幅が大きくなるのはやはりシート類。特に革のシートに交換・張替が必要なシミや劣化があった場合はそれなりの減額を覚悟しておく必要があります。

また、ダッシュボードや1台分のフロアマット、天井内張りなど面積が大きくなる部品の交換や張替が必要なケースも減額が大きくなりがち。3~5万円の査定ダウンは免れないでしょう。

内装が綺麗な状態であればプラス査定も

ここまで車の内装の状態による減点や減額について取り上げてきました。車の買取査定の基本は減点方式であり、内装に関しても減点・減額に関する情報がほとんどだからです。

しかし、内装に関しては稀に加点になるケースも存在します。

価値加点(当・1年ものには適用しない) 加点
内装が無減点(ルームクリーニング減点を除く)の良質車 +20

要は登録から1年以上経った車で、なおかつルームクリーニング以外に減点がない綺麗な車は約2万円プラス査定しますよという話。

毎日頻繁に使っているような車であれば厳しい条件かもしれませんが、休日しか乗らない、なるべく傷つけないように大事に乗っているというケースであれば加点も期待できるのではないでしょうか。

車買取査定前に内装をしっかり掃除しておこう

車の買取査定の際の内装に関する加減点、いかがだったでしょうか。

内装は靴や爪が当たることも多く無傷で乗り続けるのは事実上不可能といえるでしょう。しかし気を付ければかなり綺麗な状態を保つことができるのもまた確か。

また、すでに存在する内装の傷や穴、破れなどに関しては自分ではどうにもならないものの、汚れや臭いであれば自分で掃除することによってマイナス査定を回避できる可能性があります。

中でも室内のヤニ汚れやペットの毛、それに伴う臭いに関しては減点が大きい一方で自力である程度どうにかなる可能性があるもの。買取査定前にできるだけ取り除いておきたいところです。

将来的な買取査定を想定するなら車内でタバコを吸わない、ペットを乗せないことを心がけるといいでしょう。可能であればシミや臭い、汚れの原因になりうる車内での飲食もできるだけ避けたいところ。

一方、すぐにでも売りたい状況なのであれば、内装をできるだけ綺麗に掃除することで査定額が数万円上昇することも。掃除された室内は査定士の心象も良くなるためやっておいて損はないはずです。

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